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2022年度 西部労福協第40回研究集会を開催!

「平和で安心して働きくらせる持続可能な社会を!」~今こそ西部労福協の力を結集しよう~

2022年11月10日(木)広島県広島市「ワークピア広島」で、中四国9県の地方労福協、事業団体、労働団体42名の参加で第40回研究集会が開催され、高知県労福協より3名が参加しました。

開催にあたって、西部労福協・堅田裕之事務局長より、今回の開催にあたってコロナウイルス感染拡大の影響で開催日程の短縮と参加者の制限を設けて開催に至る事となったとの説明を受け、開催地の広島県労福協・久光博智会長、開催地の及川享広島市副市長の労働者福祉に対する敬意と今後の活動強化への期待を含む挨拶があり、講演に入りました。

講演Ⅰ「奨学金制度改善・教育費負担軽減の取り組み」

講師:労働者福祉中央協議会 南部美智代事務局長

公的奨学金制度の始まりから、制度改正など現行奨学金までの制度内容を分かりやすく解説され、大学進学における世帯収入との関係性など、世帯収入が少ないほど大学進学の希望割合が少ないとの傾向が統計により確認できるとし、教育費を家庭負担に頼ってきたことや上昇し続ける大学の授業料、経済停滞により上がらない年収など、奨学金問題の背景がある事の説明がありました。また、子育てや教育にかかる費用が少子化の要因となっており、現在コロナウイルス感染拡大が続く中で、低所得世帯の子供たちが将来低所得者になる可能性が高くなり貧困の連鎖から抜け出せないなど、学歴と収入の結びつきが強いとの関連についても説明を受けました。

中央労福協は、学費の高騰や家計収入の減少等により、学費が賄えず「学びたくても学べない」学生が増えており、卒業後数百万円もの返済に直面する中、コロナ禍で内定取り消しや採用削減などで「返したくても返せない」若者が増えているとし。他方、奨学金の制度や支援が不十分である現状を改善すべく、奨学金制度の拡充のための運動を2021年度から第3期運動として取り組んでいることが紹介されました。第3期運動では、教育費の漸新的無償化に向けた学費の軽減と給付型奨学金の拡充、有利子から無利子へ返済困窮者への救済措置の拡充、無理のない柔軟な返済制度への改善、教育費・奨学金返済負担を軽減するための政策減税を目標に掲げて取り組んでいます。さらに、労福協の未来に向けた指針として、すべての働く人の幸せと豊かさをめざして、連帯・協同で安心・共生の福祉社会をつくるとの理念と貧困や社会的排除がなく、人と人とのつながりが大切にされ、平和で、安心して働き暮らせる持続可能な社会をめざすと力強く宣言されました。

講演Ⅱ「労働者福祉としての働き方改革」

講師:県立広島大学大学院経営管理研究科 木谷宏教授

木谷教授は、人的資源管理、ワークライフ・バランス、ダイバーシティ・マネジメント、働き方改革、治療と仕事の両立支援を専門とし、広島県働き方改革推進・働く女性応援会議の学識者委員、広島市男女共同参画審議会の会長を務めるなど、働き方改革に造詣が深く、現在の感染症リスク社会における働きがいについて講演していただきました。

はじめに、感染症リスクが経営に何をもたらしたかについて、危機発生に対し、柔軟に調達先を変更したり、特定国への集中の見直しの必要性やテレワークとオフィスワークの混成、デジタル化の加速などが進められた事が挙げられ、新たな自然的な外部環境による組織(企業)への影響が、人的資源管理の戦略・方針・実践に作用を及ぼしたと説明がありました。

次にワークライフバランスの定義は、英国では、「誰もが仕事とそれ以外の責任、欲求とをうまく調和させられるような生活リズムを見つけられるように、就業形態を調整(働き方)すること」としており、日本では、男女共同参画会議専門調査会の定義は、仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発など、様々な活動について、自ら希望するバランスで展開できる状態と定義するなど、具体的方法を欠いており、うまくいっていないと分析していました。

最後に、広島県における働き方改革の取組を紹介し、広島県の働き方改革は、1つは、時間や場所に捉われず、従業員が個々の状況や価値観に合わせて、自分らしく働くことができている状態など「働きやすさの実現」と1つは従業員が所属する組織で働く価値を感じながら、意欲的かつ自律的に仕事に取り組むことができている状態の「働きがいの実現」により、ひいては人材確保、組織の生産性向上、外部環境変化への対応向上をもたらすと言う成果に繋がる。結果として、全従業員が活躍する組織(能力の最大化)となり、企業価値の向上を図ることで持続可能な企業成長を目指すとのことでした。

参加者は大変勉強になり、今後の活動に活かして、地域での活動の広がりを進めて行くことの決意となったことと思われます。

 

西部労福協